2007年04月14日

一週間で一冊読むぞ!「いのちの食べ方」森達也

ウイークデーの他に休みの日にちょっとバイトすると、しばらくからだが混乱するというか、今がいつなのかわからない、みたいな感じになります。目が回っちゃって。

あたふたしてるうちに一週間が過ぎました。今週も別のバイトを頼まれたのですが、明らかにキャパオーバーなので、お断りしました。

で、本です。

「いのちの食べ方」森達也

森さんはテレビのドキュメンタリー番組のディレクターとして有名な方です。オウム真理教の、マスコミが報道しなかった素顔を追ったドキュメンタリー映画「A」「A2」、秋山眞人、堤祐司、清田益章という現代日本を代表するエスパーに密着した「職業欄はエスパー」など、他の誰もが触れることもしなかった世界を、たんたんとさりげなく見せてくれる方。



私は「A」も「A2」も「職業欄はエスパー」も見させていただいています。何回かトークショーで森さんのお顔を拝見したことがありますが、とてもニュートラルで、誰の立場にも寄らない、という印象があります。

オウムの信者の子たちは森さんを信用し、他のマスコミには決して見せない顔で笑い、本音を語ります。部外者立ち入り禁止の場所にも、森さんなら、どんどん招き入れる。じゃあ、そんなに彼らと親しいなら、森さんはオウム保護者か、というと全くそうではないのです。ではオウムを攻撃する側なのか、というと、それも違う。

どちらの立場にも立たない。なのに、撮りたいと思った対象に密着することができる。
一体どうしたらそんなことができるのか、非常に希有な才能の持ち主だと思います。

そんな森さんの書いた本。
「いのちの食べ方」もやはり徹底した取材をもとに書れています。
いのち、つまり、私たちが普段口にしている、牛や豚について。

野菜や魚の市場は頻繁にマスコミにも登場するし、築地市場など、実際に行くひとも多いです。観光地化されてますしね。

でも、牛や豚の市場って、行ったことのあるひとは少ないと思います。マグロの解体ショーなんてのは見たことあるけど、牛の解体ショーは見たことないはず。

長くマスコミにいた森さんはなぜ、牛や豚の市場をテレビは流さないのか、ずっと不思議に思っていたそうです。それで、実際に自分で調べて、取材に行きます。

この本はいつも食べてる牛や豚、スーパーでパック詰めされてるあのお肉と、農場で元気に生きている牛や豚がどうつながっているのか、赤裸々に教えてくれます。

そして、なぜそれをテレビは映像として流せないのか。なぜ私たちは何も知らず、考えずに肉を口にしているのか。それには今も残る差別問題が深くかかわっていること、その差別は日本でいつ、誰によってはじめられたのかまで、書かれています。

情報が溢れている現代なのに、私たちに巧妙に知らされていない秘密がある。けれど、それは私たち自身が、その秘密を求めているからだ。
それはひとのこころの弱さや醜さや切なさを覆い隠すもの。誰にでもあり、だからこそみんなが目を背ける。。

私はこの本を通勤の地下鉄で読んだのですけど、何度も泣きそうになってしまって、いや、一回だけはほんとに泣いてしまって、するするとは読めませんでした。
読みやすくわかりやすく、優しさに溢れた文体なのですよ。
でも、するっと読み飛ばすみたいにしては読みたくなくて、ゆっくり何度も何度も反芻しながら、読ませていただきました。

以下、私が泣いたところを抜粋します。

*******************************

もう一度書くよ。
そもそも僕らの営みは、人を傷つけたり傷つけられたりすることであり、これは人を愛することと同義なんだ。同義。わかるよね?同じ意味。

人を愛さない人はいない。だから人を傷つけない人もいない。君も、あなたも、彼も、彼女も、いつも誰かを愛しながら、いつも誰かを傷つけている。これが人生だ。
何十億ものそんな営みが、この世界を作り上げている。


*******************************


おすすめ度 ☆☆☆

2007年読書数 通算14冊


posted by kanaliyahouse at 10:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 土星 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
牛や豚の解体ショー、確かにやってないですね。私は肉類がどちらかというと苦手な方だから、もし見てしまうと更に食べられなくなる可能性大だったりして。じゃあ、何故マグロならいいのか?と聞かれても答えられないです。
粗末な食べ方だけは禁物ですね。
Posted by げら at 2007年04月14日 21:39
♪げらさん、コメントありがとうございます。

>じゃあ、何故マグロならいいのか?と聞かれても答えられないです

たぶん、マグロは既に死んでいるし、血も抜かれているから、ショーとして綺麗だからいいのでは、とも思います。

牛や豚は生きていて、殺さないといけないのですが、殺す前に生きたまま血を抜くのです。そのやり方はとてもここでは書けません。そういうことを私は知ってしまいましたが、牛や豚のお肉は好きだし、ずっと食べ続けます。

切ないけれど、それが私が生きるってことだろうと思います。
Posted by kanaliya at 2007年04月14日 22:10
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。